club CRAWLっていう聖地

12/25の 渋谷 club CRAWLでの公演を以て、Mrs. GREEN APPLEのライブハウスツアー「ゼンジン未到とプロテスト〜回帰編〜」が幕を閉じた。

私が入ったのは新潟、大阪、仙台、福岡2日目、そしてオーラスの渋谷。
エンターテインメントに溢れたENSEMBLEツアーの最後に原点回帰を大きく掲げた彼らがまさに原点へ帰っていく様を数公演ながら見届けられたことが本当に嬉しかった。ただただ、今あるこの一瞬一瞬が奇跡のようなものに感じられた。



◯セットリスト◯

我逢人
ナニヲナニヲ

MC
アンゼンパイ
リスキーゲーム
soFt-dRink
MC
propose
WHOO WHOO WHOO
REVERSE
soup
MC
セッション
SimPle
No.7
青と夏

WaLL FloWeR
MC
StaRt
WanteD! WanteD!

僕のこと
10bit( club CRAWLのみ)
墓無い唄( club CRAWLのみ)
CONFLICT













以下、レポートとは言い難い主観たっぷりのただのCRAWLの感想文です。








前回のツアーとは異なって、暗転の舞台に棒状のライトが立っているだけのとにかくシンプルなステージ。

涼ちゃんがアレンジをした我逢人を、大切に歌うもときくん。力強くまっすぐにリズムを刻むあやちゃん。クールに、熱くギターを掻き鳴らす若井、ファン一人一人と心を通わすように会場を見回しながらキーボードを弾く涼ちゃん、メンバーの存在を確かめるようにベースで支える髙野。ゆっくりとあかりが上に登っていくライトは、彼らの迷いや想いが少しずつ昇華されていく様のようで心を掴まれた。


未発表曲「propose」
私はもときくんがInstagramでストーリーや投稿にこの曲を少しずつ載せたり、インスタライブで弾き語ったりしているときからずっとずっとこの曲が好きで。だから今回このライブツアーの中でフルを聴くことが出来て本当に嬉しかった。

僕に必要な君がいる
君に必要な僕はいるの?

こんなに寂しい歌詞ある…?聴いてる此方が悲しくなるほど愛の歌で、寂しい歌で。聴けば聴くほど好きになった。このどうしようもなく寂しい歌を作った寂しい彼のことが堪らなく儚く見えた。際立って影が差していたように思えた。


このツアーで涼ちゃんのアレンジが加わった曲は、冒頭の我逢人ともう一曲「WaLL FloWeR」
仙台までは、とても弱々しくて、悲しくて、胸が締め付けられるような曲だと思っていた。でも、福岡2日目からCRAWLにかけて、私はこの曲に衝撃を受けた。
まるで印象が変わった。
壁の花〟に気付かないことへの怒り、世界が途端に終わらない限り大切なものに気付かない人間への怒り、愛しても無駄だと分かっていても愛を持たずにいられないことへのもどかしさ、とにかくどうしようもなくなる気持ち。
それはそれは怒りに満ち溢れた歌だった。

実は汚れ腐った此の地
人もなにもかも全部
どうか温かいモノを忘れないように生きて

マイクスタンドからマイクを引っこ抜いて、コードを手に絡めて噛み付くように叫んでいたもときくんを見て、正直ゾッとした。怖かった。でも何故か目が離せなかった。一瞬も見逃してはいけないような、一音も聴き逃してはいけないような気がした。

MCでは「この曲を歌うと空気が淀む」「イライラする」と言っていたけど、それはひしひしと感じた。怖かった…………。





アンコールで、メンバーそれぞれが当時悩んでいたこと、葛藤していたことを聞くことが出来た。みんながみんな個々に劣等感や引け目に溢れていた。

あやちゃんが、ドラムを上手く叩けなくて手を血だらけにしながら練習したこと。
途中加入した髙野が、ミセスの過去を知らないことに対して引け目を感じて、このメンバーのなかでどう活動していけばいいか、CRAWLの店長に相談していたこと。
若井が、音楽に対して中途半端にしたくない気持ちと、上手くもときくんの音楽を表現できなくてもどかしかったこと。ギターに向いてないんじゃないかと悩んだこと。
涼ちゃんが、ライブを心から楽しめていなかったこと。ファンから「ミセスのキーボード要る?」と言われて、言い返せなくて悔しかったこと。自分には何が出来るんだろうと悩んだこと。
もときくんが、そんな葛藤に満ちながらも音楽に向き合ってきた彼らを心から尊敬していたこと。

そのどれもこれもが、今目の前にいる5人を形作っているんだと思うと愛おしくて堪らなくなった。


音楽を続けていてくれてありがとう、と陳腐な言葉しか浮かばなかったが、本当にそれが心からの思いだった。
悩んでいたことや悔しかったことも含めて、どれが欠けても、もちろん誰が欠けてもこの一瞬たりとも成り立たなかった。まさに奇跡だった。紛れもなく奇跡だった。


葛藤に塗れた彼らがもがきながらも音楽に向き合ってきたこのclub CRAWLという場で、葛藤を謳ったCONFLICTを歌った彼らは世界で一番かっこよかった。世界で一番輝いていた。

僕らの抱いたこの夢は 誰のものでもなく私のものだ
貴方の愛しい胸に その葛藤がある限り
この世も諦めることがなく 微笑みかけるでしょ

大切に大切に、噛み締めるように歌っていた。それは、私たちに向けてではなくてきっと当時の彼らがそこに居たんだと思う。かけがえのない瞬間だった。綺麗だった。涙が溢れて止まらなかった。







Mrs. GREEN APPLEを好きになって間もない人間だが、感動することは自由だと声を大にして言いたい。どのくらい好きだ、何年好きだなんだと、そんなものはどうでもいいと思った。そんなものちっぽけだと思った。200人と5人の対話だった。


在り来りな言葉だけど、あの場に居れてよかったと心から思った。心が震えて、涙が止まらなくなるような、まっすぐな音楽と彼らに出会えて幸せだ。

きっと私は、この先どんなことがあっても、例えミセスに飽きても、2018年12月25日を一生忘れずに生きていくのだろうと思う。












20181226